大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(う)650号 判決

本件記録を調査するに、本件については(一)昭和二五年一一月二五日附起訴状と、(二)昭和二六年一〇月三〇日附追起訴状とが存在し、(一)は昭和二六年九月一四日の原審第四回公判期日(論旨には第三回とあるも誤記と認む)に検察官が朗読し、(二)は同年一一月一六日(論旨には昭和二六年一〇月三〇日とあるがこれは以上の誤記と認める)の原審第六回公判期日に検察官が朗読し、以後併合審理されたものであるところ、右第四回公判期日において(一)の公訴事実の証拠として所論各書証が取り調べられたが、そのうち被告人に対する司法警察官(郵政監察官)作成の第八回供述調書(論旨には七回供述調書も(二)の公訴事実のみに関するものとあるけれども七回供述調書には(一)の公訴事実に関するものも含まれている)以外のものの中には(一)の公訴事実に関するもののみでなく、その当時まだ朗読されていなかつた(二)の公訴事実に関するものも包含しており、右第八回供述調書は(二)の公訴事実に関する供述記載のみであることはまことに所論のとおりである。しかしながら第四回公判期日当時はまだ(二)の公訴は提起されていないのみならず、裁判所にはこれが起訴されることが明らかになつていた形跡は勿論認められないし、検察官においてもこれを起訴する意図があつたという確証は本件記録によつては、認められない。従つて右は(二)の起訴状に添附されたものとは当然認められず、又検察官において証拠として取調を請求する意思のないものとも認められないから、右証拠調は格別刑事訴訟法第二五六条、第二九六条に違反するものとは認められない。

なお右法条はすべて起訴事実についての規定であつて、未だ起訴されていない事実についての規定ではないのであるから、所論各書証が(二)の起訴状が朗読されないうちに取り調べられても、元来被告人(一)の起訴事実はすべてこれを認めているのであり(ちなみに被告人は(二)の起訴事実もすべて認めている。)この起訴事実の情状には関係があつても、前述のように未だ公訴が提起されておらず、且つ提起されるかどうかも判つていない(二)の公訴事実について裁判官に予断を抱かせる虞のあるものとは到底認められず、更に所謂起訴状一本主義にも反するものではないし、又自白調書を他の証拠を取り調べないうちに取り調べたという場合にも該当するものとは認められない。のみならず、右第四回公判期日における検察官の右各書証の取調請求に対しても、亦(二)の起訴状が朗読された後の第六回公判期日における検察官の右各書証のうち(二)の公訴事実に関係あるものの取調請求に対しても、夫々被告人及び弁護人はこれに対し何等異議を述べることなく証拠とすることに同意しているのであるから、原審訴訟手続には何等所論のような法令違反のあるものとは認められない。論旨は理由がない。

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